柏原竜二が引退する。 まだ、27歳。 周囲からは「まだ早いんじゃないか」という声もあったようだが、ここ数年、怪我に苦しんだ本人の意思は固かった。 改めて書き記すまでもないが、柏原こそ、正真正銘の「山の神」である。柏原がいなければ、東洋大は名門の地位を築けなかったかもしれない。 2009年から4年連続で、箱根駅伝5区の区間賞。もうすぐ始まってから100年を迎えようとする箱根駅伝の歴史の中でも、特筆されるべきランナーだ。2017年から5区の区間が短縮されたこともあり、柏原のような峻烈な走りを山で見せる選手はもう現れないのではないか。 瀬古利彦氏が解説した柏原の走りの特殊性。 特に2009年、1年生柏原の箱根デビュー戦は圧巻だった。首位の早大から4分58秒差の9位でタスキを受けると、最初からグングン飛ばし、上りに入ると各校のランナーをごぼう抜きし始めた。 「自分の前を走っている選手を、とにかく抜