清酒発祥の地と伝わる奈良市菩提山町(ぼだいせんちょう)の正暦寺で本堂が破損し、ゆかりの蔵元や日本酒のファンらが修復の支援を続けている。24日には同市でチャリティーイベントを開く予定で、「由緒ある寺が元の姿を取り戻せるよう、多くの人の協力をお願いしたい」と呼びかけている。(有留貴博) 正暦寺は平安時代の992年に創建された。室町時代には120の僧坊が立ち並んだという。戦国時代以降、所領が減らされて、いまは塔頭(たっちゅう)の福寿院と大正時代再建の本堂が残るのみとなっている。 酒造りは室町時代、多くの寺で重要な収入源になり、15世紀半ばの古文書には、正暦寺の造る透明度の高い「菩提泉」が名酒として人気を集めたと記される。境内には「日本清酒発祥之地」と書かれた碑が立つ。 本堂が破損したのは大雪が降った2月14日。県内に24年ぶりに大雪警報が出て、市内では最大15センチの積雪を記録した。大原弘信住職