形而上学的童話とは―構想力の基本は全て童話にある | 哲学ネットカフェ

さて、今回は、埴谷雄高(明治四十二｢1909]年〜平成九[1997]年）が次のように未完に終わらざるを得なかったと言わざるを得ない、いわば、自ら形而上学的童話と称する、主著。つまり、昭和二十一(1946)年一月に「第一章の初日の物語」の『近代文学』への連載を開始し、約五十年の時を隔てて、記述されることになった「およそ三日間の物語」のそれである、平成七(1995)年十一月の『群像』への第九章の発表が最後となってしまった『死霊』について語った、｢あり得ないことでもありそうに書けば形而上学的童話は成り立つ。『死霊』も童話だからあり得ないことをあり得たようにとにかく書いている」を中心に『形而上学の道』を探っていきたいと思います。 それは、「そもそも埴谷雄高は、昭和七(1932)年、豊多摩刑務所でカントの『純粋理性批判』の超越論的弁証論と出会ったが、牢獄に収監されているため、何も実行できないという現