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掌の美術論 <br>第15回 キュビスムの楽器の奏でかた、キュビスムの葡萄の味わいかた - けいそうビブリオフィル
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あらま、顔がヴァイオリンに…… この春ヴェルサイユ宮殿で、19世紀に活躍したフランス人画家オラース・ヴ... あらま、顔がヴァイオリンに…… この春ヴェルサイユ宮殿で、19世紀に活躍したフランス人画家オラース・ヴェルネの展覧会が開催されていた。ヴェルネは、オリエンタリズムや歴史画を手がけたアカデミズムの画家として語られることの多い画家だ。しかしこの展覧会は、意外にもロマン主義と古典主義をつなぐような革新的潜在性を秘めた画家であったことを示す点で、実に発見の多い企画だった。なかでも興味深かったのが、最後の部屋にひっそりと展示されていた風刺的自画像(図1)である。ここでヴェルネは、60歳を迎えた自己の頭部を、ヴァイオリンに見立てている。 図1 オラース・ヴェルネ《ヴェルネ自身によるオラース・ヴェルネ》1850年ごろ、フランス国立図書館 出典:Valérie Bajou (dir.), Horace Vernet (1789-1863), cat. exp., Château de Versailles