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軍拡競争が戦争に繋がるリスクはどれほどのものなのか?|武内和人|戦争から人と社会を考える
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軍拡競争が戦争に繋がるリスクはどれほどのものなのか?|武内和人|戦争から人と社会を考える
結論から述べると、あらゆる軍拡競争が大規模戦争のリスクを高めるわけではありません。軍拡競争はある... 結論から述べると、あらゆる軍拡競争が大規模戦争のリスクを高めるわけではありません。軍拡競争はある特定の状況下において国際的な紛争をエスカレートさせるのであって、それ自体が戦争の原因であるかのように見なすことは誤りです。軍拡競争がどれほど戦争のリスクを高めるのかに関しては諸説ありますが、1980年代の論争を通じて一定の結論が得られています。この記事ではその論争の展開を概観し、軍拡競争と戦争のエスカレーションとの関係をどのように理解すればよいのかを解説してみたいと思います。 論争の発端となったのはWallaceが1979年に出した「軍拡競争とエスカレーション(Arms races and escalation)」と題する論文でした。Wallaceは1833年から1965年までに発生した99件の大国間の紛争に関するデータを使って、軍拡競争が激しい場合には大国間の紛争が戦争に拡大する確率が82%で