【幻の長寿社会】（上）住民登録「届け出主義」の限界 「居住実態」追えぬ行政 (1/3ページ) - MSN産経ニュース

倉庫にひっそりと保管されていた段ボール箱を開けると、約２８００通の文書が詰め込まれていた。今年７月の参院選で大阪市西成区役所から発送されたものの、宛先不明で返送された投票案内状の束だ。 西成区の選挙人名簿登録者は９万５６４４人だが、その３％が実際には住民登録地に居住していない計算になる。「中には居住地に郵便受けがないなどの事情もあるだろうが、数が多すぎて追跡調査は無理」。出木場隆・総務担当課長はため息をついた。 大阪市では１００歳以上の高齢者６６人の所在不明が判明し、４７人は西成区民。このうち９割の住民登録地が日雇い労働者の街・あいりん地区に集中していた。同地区では、労働者が失業手当の「求職者給付金」（通称・あぶれ手当）を受けとるため便宜的に住民登録だけし、その後移転したケースもあるとみられる。住民登録を変更しなければ「住民」のままだ。

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