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日本製の見事なマジックアワーである。 映画研究会にいた頃に先輩に教わった言葉だった。朝陽が出てくる前と、夕日沈んだ瞬間の一日二回、ほんの少しの間だけ、陽が出てないのに不思議と明るい時間がやってくる。それを業界用語で「マジックアワー」というらしい。 駅前の総菜屋で約十時間。唐揚げを揚げたり筑前煮を作ったり、さらには掃除とレジ閉めまで担当している。それが週に六回。もう少し時間がかかると思っていたけど、勤め始めて一年が過ぎ、この生活にもすっかり慣れてきた。今日もたんまりと働き、売れ残ったカレーを持参のタッパに詰めるだけ詰める。 なぜカレーというものはタッパに入れても匂いが漏れるんだろう。今日の晩ご飯が、揺れる市営バスの中に充満している。斜め前に立っている同じ歳くらいのサラリーマンのおじさんがこっちを見てごくりとつばを飲み込んだ。おじさん、今日の晩ご飯はカレーだといいね。 そう思って再び窓

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星野くん小説