「歌聖」とたたえられた藤原定家による古今和歌集の直筆注釈書「顕注密勘」が、「王朝の和歌守(うたもり)」とされた冷泉家で見つかった。古今集の歌の解釈や言葉の意味を後世に伝えた「古今伝授」に関わる資料の一つとみられ、100点超の冊子・古文書とともに一つの箱に収められていた。専門家は、和歌の家に伝わった古今集や古今伝授の「神髄」を物語る重要な資料群とみなしている。 「冷泉家の古今伝授は藤原俊成、定家から守り伝えられてきた教え。今回、(歴代当主が教えを継承してきた)勉学の跡を示すおびただしい数の資料が見つかった」。冷泉家住宅(京都市上京区)での記者会見で、同家の第25代当主で時雨亭文庫の冷泉為人理事長はそう切り出した。