「根源的幻想を横断した主体は欲動をどのように生きるのでしょうか。分析の彼岸とはこのことであって、いまだかつて接近されたことがありません。」 (ジャック=ラカン「精神分析の四基本概念」368頁より) フランスの精神分析医ジャック=ラカンによれば、人のこころは「想像界」「象徴界」「現実界」というそれぞれ異なった3つの位相によって構成されています。 「想像界」とは感覚器官を通じて知覚される領域、「象徴界」とは言語によって認知される領域、「現実界」とは知覚や認知の外側にある客観的現実そのものの領域です。 まず「想像界」は「鏡像段階」において成立します。生後6~18ヶ月の子どもは外部の鏡像を通じて自己イメージを視覚的に先取りする。ここで人は「自我」を獲得することになります。 ついで「象徴界」はエディプス段階における「父性隠喩」によって成立します。子どもにとっての「母親の現前-不在」という原象徴的秩序