これまで1200人以上の恋愛相談に耳を傾け、ラジオやコラムで紹介してきた「桃山商事」の清田隆之。「M-1グランプリ2019」でぺこぱが示した、優しさの概念を更新するおもしろさを解説する。 優しさは退屈でつまらないもの、ではあるけれど 昨年末の「M-1グランプリ」決勝でぺこぱの漫才に衝撃を受けて以来、ずっと余韻が残りつづけている。本でも芝居でも、音楽でも映画でも、いい作品に出会ったときには必ずこういう感覚になる。受けた感動に言葉が追いつかず、無意識的にその時間や世界観を反芻しつづけてしまうこの感じ……。これぞカルチャーの醍醐味だよなっていつも思う。 ぺこぱの漫才に受けた衝撃、それは「優しいのにおもしろいって超すごい!」というものだ。こう表現するとなんとも陳腐になってしまうが、個人的には偉業や革命という強い言葉を使っても足りないくらいの衝撃だった。 優しさが大切というのは誰もが知っていることだ