「ぜひ我が国に来て、私の挑戦を受けてほしい」 西ドイツのプロレスラー兼プロモーター、ローラン・ボックなる人物から猪木に「ぜひ我が国に来て、私の挑戦を受けてほしい」というアプローチがあったのは77年4月のことだった。 未知の男からの挑戦表明に、新日本プロレスの営業本部長だった新間氏は親しいスポーツ紙の記者へ調査を依頼。その記者から受けた報告は、「ボックはろうあ者で、レスリングに集中できるから物凄く強い」というものだった。 「ちょうどニューネッシー(※77年4月にニュージーランド沖で引き揚げられた首長竜に似た謎の巨大腐乱死体)が話題になっていた頃なんだけど、世の中にはまだまだ知られていない生物がいるんだなというのと同じように、世界には我々が知らない格闘技があって、とてつもない力を持った選手がいるんじゃないかと思ったね。逆にボックとしたら、モハメド・アリと戦った“東洋の神秘”である猪木さんを呼ん