Ⅰ 判例のポイント コロナ禍が後押ししたデジタル化の加速はデジタル庁を登場させ、サイバー警察局を新設させようとしている。ただ、デジタル化の進行による社会の変容は、徐々に進んできており、国民の生活基盤としての「公共空間」の中で、サイバーの重みは「圧倒的なもの」といってよいほどになった。 そのような中で、暗号資産(仮想通貨)のテレビコマーシャルがこのところかなり目立ち、社会的にも、その認知が進んでいるように見える。一方で、社会的にシリアスな問題となっている「ワナクライによる身代金」は、通常、暗号資産での支払を要求してくる。より広く、マフィアなどの不法(不当)な収益の洗浄にも、暗号資産は広く利用されており、警察も、それに関連する専門の部署を充実させている。 もとより、暗号資産を利用した犯罪が重大な法益侵害を生ぜしめているからといって、暗号資産そのものに問題があるとするべきではない。盗品を扱う可能