“僕のやさしさもだんだん齢をとる”(くるり『男の子と女の子』より。作詞・岸田繁。2002年リリース。) 「齢(とし)をとる」という表現を用いる場合、主体はヒトである場合がほとんどだと思う。 「やさしさ」が、まるで人格を持って、私やあなたと同じように、息を吸ったりお茶を飲んだり怒ったり落ち込んだり食事して「おいし」と言ったり愛したり愛されたりしているみたいだ。 そこには、幅がある。うつろいや経過がある。奥行きかもしれない。時間の層を感じる。 齢をとるのは、変化すること 齢をとる。それは、変化でもある(もちろん、実際に年齢を重ねても変化が少ない場合もあるだろう。そんなとき私は「トシとらないですね」などと相手に笑いかけるのかもしれない)。 ある時点までの観測からの「変化」。異なる時点における観測の差異があって、私は「トシとりましたね」というかもしれない。その変化や差異の質、内容によっては、思って