「葬送のフリーレン」コミック版第1巻 「魔王を倒す」という一番大きな物語が終わった後の話 民放テレビ局のプライムタイムの映画枠で2時間一挙放送すると知った時は、第1話を90分一挙放送することで話題をさらった『推しの子』(集英社)のアニメ版のように、作品の世界観を一気に提示するイベント性の高いエピソードを放送するのではと思われたが、コミックスの順番通り、1話完結のエピソードが4話続くという平常運転でのスタートだった。 そのため「一挙放送することに意味はあったのか?」という意見も多かったが、筆者は逆に、いかなる時も冷静で淡々としているフリーレンの物語にふさわしい構成だったのではないかと思う。 『フリーレン』の、エルフ、ドワーフ、ドラゴンといった人ならざる存在が登場する中世ヨーロッパ風の世界は、ファンタジーRPG(ロールプレイングゲーム)の典型をなぞったものだが、一方で魔王を倒すという一番大きな