福井栄二郎 @natganigpa 「文化人類学では基本的に「途上国」「先進国」って言葉を使いません」と言うと、学生たちはキョトンとする。「じゃあ何て呼ぶのですか?」と訊かれるが、そこは言葉の問題じゃない。「途上/先進」という考え方自体が、文化人類学にそぐわないんです。 2024-05-01 20:48:54
とりあえずつくった暫定版です。主要な人類学者(岸上伸啓ほか『はじめて学ぶ文化人類学』ミネルヴァ書房、2018年などを参考にしました)の翻訳書のうち、国会図書館デジタルコレクションの(主に)個人送信サービスで読むことができるものを集めています。※ 個人送信サービスの説明や登録方法はこちら。 おもに2024年4月末の追加によって、1995年ごろまでの絶版書目を中心に、多くの文献(とくに各分野で「古典」とされているようなもの)が登録すればオンラインで読めるようになっています。これはすごい! 暇をみて更新するつもりですし、テーマ・地域別のリストも作成したいし、日本人の著者についてもまとめたいと思っている(今回は多すぎたので断念)のですが、そんな余裕はないかもしれません。ぜひ誰かやってください。また作成者は人類学の専門家ではありません。漏れがあったり、主要な人類学者の選定に論争性があったりするのかも
0 noteでの公開に際しての前書き ご無沙汰しておりました、もしくは初めまして、Ethnoです。 筆者は現在、大学院の博士課程で文化人類学を専攻しています。日本語圏のオンライン空間(≒インターネット)をフィールドとして調査をしており、「淫夢」という文化における人々の実践を対象に研究を進めています。「文化圏の研究はその文化圏に還元すべき」がモットーなので、筆者が2022年に執筆・提出した修士論文を公開してみることにしました。 本論はTwitter(現:X)をフィールドに「淫夢」を人類学的なアプローチから調査・解釈を試みた論文となっています。淫夢に関するテキストとしては「学術的な視座から真面目に取り扱う」という事が、人類学研究としては「ネットの文化をネットの文脈で解釈する」という事が、それぞれアピールポイントになるかと思います。執筆から1年経った現在見返すと正直ガバガバな部分も多いのですが、
「発達障害の人に対し、当事者を十分に考慮せず仕事に就かせる支援が是だとされる。障害のある人への支援政策において『就労』が重視されすぎているのです」と語る照山絢子氏 発達障害本ブームというべき昨今。書店には関連書籍が山と積まれ、新刊も次々と出版されている。そんな中、フィールドワークを通したユニークな視点でこの問題に切り込んだのが『発達障害を人類学してみた』だ。 著者の照山絢子氏(筑波大学准教授)に、人類学の視点を通した発達障害のとらえ方について聞いた。 * * * ――文化人類学者が発達障害をテーマとするとき、ほかの専門家と何が違うのでしょうか? 照山 発達障害だけにフォーカスするのではなく、それを通して日本社会を見るところが特徴だと思います。 ――というと? 照山 日本社会がどういうものかが、発達障害を通して見えてくるんです。 発達障害はもちろん医学的な概念です。代表的なものとしては自閉ス
一口に「嗜好品」と言っても、土地や文化が違えば、そのあり方は大きく変わる。 わかりやすい例を挙げれば、日本では煎茶や抹茶が親しまれてきた一方、近代以降のイギリスやインドでは紅茶が主流。飲み方も、国や地域によって大きく異なっている。 なぜ嗜好品のあり方は、こうまでも多様なのだろうか。 「嗜好品は、人間が生を営んでいくうえで大事にしている、目に見えないものとつながっている」 そう語るのは、神話学/芸術人類学を研究する、石倉敏明さんだ。 石倉さんはインド・ネパールや日本の東北地方を中心に、国内外の各地をフィールドワークしながら、「山の神」研究をはじめとした神話学を研究してきた。 さらには、アーティストとの共同制作などを通じて芸術を実践しながら、自然と文化の垣根を越えて「人間とはなにか」を研究する芸術人類学にも取り組んでおり、2019年の第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館では美術家
連載コラム「カレー人類学」●異文化が交わる場所にカレーあり。カレーを掘ることは、異文化を知ること、すなわち文化人類学だ。4000軒以上にもおよぶ世界中のカレーを食べ歩いたカレー細胞が、食欲も知的好奇心も満たされるカレーの旅へと誘う。 老若男女問わず愛されるメニュー「カレー」。 カレー細胞さんも、そんなカレーの魅力に取りつかれたひとり。日本全国、時には海外まで出掛けて各地のカレーを食べ尽くしている。 彼曰く、全国でも長野県松本市は激アツのカレーシティだという。 現在松本市では、「松本カリーラリー」が開催中で(~3月31日まで)、地元の飲食店約80軒が個性溢れるカレーを提供している。 ▶︎すべての写真を見る なかでも「この味は、世界に通用する」とカレー細胞さんの舌を唸らせた4軒をピックアップした。 案内人はこの方! カレー細胞●カレーキュレーター。日本全国はもちろん、アジア・アフリカ・南米に至
『声と文字の人類学』が発売。「書かれたもの」への信頼を揺るがす新しい文明論!「声より先に文字がある」「文字記録が信頼されない」など、文字の歴史は意外な事例に満ちている。古代ギリシアから中世英国、現代バリまで、知的冒険に満ちた読み物。 NHKブックス『声と文字の人類学』がNHK出版から3月25日に発売されました。著者は構造主義をはじめとする文化人類学理論の研究などを専門とする出口顯さん。声に出して話し、文字を読むという日常的な営みについて、人文学の領域を横断しながら論じます。 人類の長い歴史の中で、文字の存在はどんな意味を持ったのでしょうか? 「そこから文明が生まれた」 「音声を残せるようになった」 このような従来の西洋中心主義的な常識を脱し、本書では、古今東西の文字使用が意外な事例に満ちていることを示します。人類史が見落としてきた「声」と「文字」の歴史は、読み書き能力への信仰を揺るがす深い
一昨日、「平田派から柳田國男までの国学に見えたる妖怪論」と称して、現在進行中の某原稿の一部を転載したのだが、そういえば1年ほど前、「異類の会」で発表した時も物集高世を引いていたなあ、と思い出したので、また部分転載してみる。当時の発表タイトルは「天狗は悪魔か天使か、はたまた妖精か――日欧翻訳実践における意味の変遷をめぐって」で、レジュメだけはAcademia.eduのほうにアップロードしてある。 そのときはレジュメと別に読み原稿も用意していたのだが、いずれ整理してどこかの媒体に載せたいので、ここでは全文転載はせず、一昨日のエントリーと関係のありそうな、国学者のエンゲル(天使)論に関する部分だけ(レジュメでいうと4ページ終わりから5ページにかけて)載せてみる。(そのようなわけで、全体の文脈はレジュメを参照のこと) ちなみに「国学に見えたる妖怪論」のほうは、僕にとっては妖怪研究の学史の一部という
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