マスメディアで何度か取りあげられたのだが、私が小学四年生のときに、「母の日」というものがあることを知って、妹と一緒にお小遣いを使って、カーネーションを買いに行き、母に贈った。小さな花束を買って帰ってきて「お母さん、おめでとう、母の日おめでとう」と言ったら、母はどういうふうにも表現できない奇声を上げて、逃げまわって、落ちついたあとに私たちを厳しく叱った。世の中の一般的な祝い事が、エホバの証人のあいだでは禁じられているからで、そのときは子どもながらに愕然としたことを思いだす。母が喜ぶと思って一生懸命に考えてやったことが、そんなふうな目に遭ったわけで、後年回顧するたびに、そのとき以上に苦しくなる思い出だ。 (横道誠 編・著『信仰から解放されない子どもたち』明石書店、2023) こんばんは。勤務校の近くにあるフラワー・ショップは、母の日にお店に立ち寄った子どもたちに、カーネーションを一輪、無料でプ