(2020年6月21日) わが国の戦前は野蛮な時代だった。野蛮極まる天皇制跋扈の時代であった。その象徴が治安維持法である。1925年制定の治安維持法第1条は、「国体ヲ変革シ、又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ、結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者」を処罰の対象とした。 「国体ヲ変革」とは天皇制を否定すること、「私有財産制度ヲ否認」とは、社会主義・共産主義の思想と運動を言う。共産党こそが天皇制批判の急先鋒であって、共産党員が非国民・国賊とされて弾圧の主たる対象となった。その後、弾圧対象者の範囲が際限なく拡大したことはご存じのとおりである。 治安維持法適用の最初の大弾圧が、1928年3月15日の「3・15」事件であった。そして、翌年の「4・16事件」に続く。この大量の検挙者を、数多くの良心的弁護士が献身的に弁護した。ところが、天皇制警察と検察、そして司法は、共産党員被告人の弁護を