――現在のように、さまざまな文芸作品を出すようになったきっかけはなんだったのでしょうか? 菊地:21年前に『Deep Love』というケータイ小説を出版しました。作家さんからの持ち込みだったのですが、これがミリオンヒットになった。次の年に出したのが『天使がくれたもの』で、これもミリオンヒット。その次が『恋空』ですね。これは他社の小説投稿サイトに書かれていた作品を書籍化したのですが、これが大ヒットして、なんと3年連続でミリオンヒットが出た。 ――わずか数人の編集部でそれは、すごいですね。人気の理由はどこにあったのでしょう。 菊地:3作品とも、当時の中高生の気持ちをよく表していたんだと思います。携帯メールを介した口コミでどんどん流行し、クラスで噂が飛び交い、全国でケータイ小説のムーブメントが起きました。 ただ、流行はずっと続くわけではなく、『恋空』ブームが収束したときには、返本の山になってしま