「歯と歯茎の間にある歯肉溝に歯垢が溜まり、細菌感染が起こると歯周ポケットができます。これが歯周病で、初期段階の『歯肉炎』から『歯周炎(歯槽膿漏)』へと進行するのです。現在、中高年が歯を失う原因では虫歯と歯周病とがほぼ半々の割合となっています」 先ごろ英国では、新型コロナウイルス感染症における細菌性肺炎の原因菌として、歯周病菌を含む多くの口腔常在菌が見つかったとの研究報告がなされた。なおのこと油断は禁物であり、花田教授は続けて、 「歯周病は、単なる口腔内の病気ではありません。歯周病菌は三つのルートで全身に拡散し、健康に影響を及ぼしていきます。最も一般的なのは血管を通るルート。歯周ポケットに溜まる細菌の数は、歯周病菌を含め1グラムあたり1千億個にもなり、血管に侵入すると、これらの『歯原性細菌』は血管の老化を促進し、壁に付着して血管を腫れ上がらせ、虚血性疾患を引き起こします。さらには毛細血管を通