社会学の研究クオリティを上げるため大学院入試では数学と統計学を必須にすべき、という「提案」が流れてきて驚愕する。ひとえに社会学といっても、歴史社会学、ジェンダー論、ライフヒストリー研究など、史学や文学と密接に絡む分野は珍しくない。そういう領域の成果をあまりにも軽視しすぎている。
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ちょうど2年前に『人口減社会の未来学』という編著書を出した(文藝春秋、2018年)。寄稿者は常連の平川克美、小田嶋隆のほかに、池田清彦、平田オリザ、ブレイディみかこ、姜尚中、藻谷浩介ら錚々たる論客。私が序論を書いた。 この文中の「人口減」を「コロナウィルス禍」と書き換えても、ほとんどそのまま使えるということに気がついた。そのつもりで読んで頂きたい。 人口減社会の未来を予測する書物は、本書を含めて、これからいくつも出版されると思います。このような国民的な問題については、できるだけ多くの書き手によって、できるだけ多くの知見が示されるべきだと思います。未来はつねに霧の中です。霧の先にどういう風景が広がっているかについては、確定的なことを言える人は一人もいません。ですから、論者の数だけ未来像が語られることになる。この場合、予測される未来像が違えば違うほど、僕たちが書き出さねばならない「心の準備」の
文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社 日本語・日本文学の研究書を中心に、人文学書全般を刊行する出版社、文学通信のブログ。 文学だけにこだわらず周辺領域も含め、意欲的に刊行していきます。 出版活動と同様に、webでも積極的に活動することで、多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出していきたいと思います。 〒113-0022 東京都文京区千駄木2-31-3 サンウッド文京千駄木フラッツ1階101 電話03-5939-9027 FAX03-5939-9094 info@bungaku-report.com インボイス登録番号:T4011501023591 ホーム ブログ 飯倉洋一「未来に活かす古典―「古典は本当に必要なのか」論争の総括と展望」(校正中)(荒木浩編『古典の未来学(仮)』文学通信、2020.10刊に掲載予定) ※本テキストは、2020年2月7日に、明
<「未来学」確立に大きく影響したのが米ソ冷戦と核戦争の脅威。混乱する時代の先を見通した4人の功績から、現代の世界情勢への教訓を得る> 前回の記事の最後に触れた通り、20世紀は未来学の確立期だった。同時に、指し示す未来はユートピアかディストピアか、その明暗をめぐって揺れる揺籃期でもあった。 20世紀後半に入ると、未来学の進展のうえで欠かせないSF作品や論考が相次いで発表されていった。未来学の地歩を固めた主要な人物として、 ・ハーマン・カーン ・ピーター・シュワルツ ・アルビン・トフラー ・アーサー・クラーク らがいる。4人の功績や著作に触れつつ、未来学の現在地に至る道程を振り返りたい。 彼らの作品や思想が支持を集めた1960~1980年代は、米ソの冷戦の只中にあった。核保有国同士がにらみ合い、コールド・ウォーがホット・ウォーに成りかねない、非常に危うい緊張状態が続いていた。風雲急を告げて戦争
アーロン・バスターニ『ラグジュアリーコミュニズム』(堀之内出版)をお送りいただきました。ありがとうございます。 https://info1103.stores.jp/items/5fc10286b00aa34c94002ab0 資本主義がもたらす破滅的な危機を避けるため、いまこそテクノロジーの恩恵を人々の手に。万人に贅沢(ラグジュアリー)を。 めざましい技術革新の果てにあらわれるポスト資本主義社会へ向けた新たな政治=「完全自動のラグジュアリーコミュニズム」の構想。 資本主義リアリズム、加速主義を超えて、イギリスの若手ジャーナリスト、アーロン・バスターニが新しい未来を提示する。 邦訳のタイトルは原題の後半だけで、前半の大事なところが抜けている。 原題は「Fully Automated Luxury Communism」。「完全自動の贅沢な共産主義」だ。この「完全自動」ってのが大事。著者のバス
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