特許権の侵害となるか否かは,原則として,対象製品が特許明細書の「特許請求の範囲」に記載されている構成要件をすべて充足しているのか否かということで判断されるという点は,前回言及した通りです。しかし,特許法の101条には,例外的に,構成要件を充足していない場合でも,特許権を行使できる場合を明文で規定しており,特許法101条の各号に該当する場合を間接侵害と呼んでいます。 例えば,特許権を侵害する物の生産のためにしか製造されない部品を製造する行為は,「特許請求の範囲」に記載された各構成要件を充足するものでなくても,間接侵害として差止や損害賠償請求を受ける可能性があります。ここでは,ソフトウェアの分野に関する「一太郎事件」等を参照しながら,間接侵害等,「特許請求の範囲」に記載されたすべての構成要件を充足していないにもかかわらず,法的な責任を追求しうるケースについて検討してみようと思います。 1 特許