勉強はきっとウチらに平等だ! 蚊帳りく 高校一年生のミーカは家庭の事情で塾へ行くことができなくなってしまう。 それでも志望校に合格するために、同じく塾に通っていないりっぴよに 自習の仕方を聞きに行くことに。志望校に向けて二人で勉強をすることになるが…!?
後世の歴史家から希代の悪女と称されるアンヌ・ジャルダン・ド・クロード・レヴァンティン女伯爵は、眉一つ動かさずに自分への判決を聞いていた。 法廷は、下卑た空気に支配されている。 裁判長が笑みをたたえながらもおごそかな口調を取り繕い、長ったらしい判決を述べてゆく。並行して傍聴席のそこかしこから聞こえてくるひそひそ話――アンヌは耳がいい――は、とても聞くに堪えない内容。粗雑で下品で破廉恥な猥談だった。 (愚かな人たち……。自分が“何”を相手にしているのか知らないとはいえ) アンヌはあきれ返り、内心でそう呟く。 不当な裁判だった。 裁判官、検察、弁護人、証人、果ては傍聴人まで全員がグル。形式的なものにすぎず、有罪は最初から仕組まれていた。 敵に回したのは、この国の第一王子だ。 歳は三十の後半。体重は百キロを優に超える肥満体で、数年前に妻が衰弱死してからは、新しい女をとっかえひっかえ婚約しては結婚す
クロネリア・ローセンブラート男爵令嬢の最初の結婚は十三歳の時だった。 琥珀《こはく》色の豊かな巻き毛と、鳶色《とびいろ》の落ち着いた瞳色を持つクロネリアは、華やかな美人というわけではないが、幼少時から少し大人びて慎ましやかな印象を感じさせる魅力的な少女だった。 当時クロネリアには文を交わすだけだけれど、想い合う相手がいた。 二歳年上の男爵子息、ハンスだ。 同じ男爵家同士、家柄の釣り合いも良く、玉の輿《こし》というわけではないけれどまずまずの相手だと両家の公認でもあった。 『中庭にアネモネの白い花が咲き乱れています。ハンス様にも見せてあげたいわ』 『僕の家には真っ赤なアネモネが咲いています。結婚したら庭にたくさんのアネモネを植えよう。楽しみだね、愛しいクロネリア』 社交界を騒がすほどの華やかな結婚ではないけれど、ハンスと二人で慎ましやかに幸せに暮らしていこうと夢を膨《ふく》らませていた。 し
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