大昔の日本列島はどんな社会だったのか。かつての「考古常識」はどう変わったのか。本書『考古学講義』(ちくま新書)には「考古学の最先端がこの一冊でわかる」というキャッチコピーが付いている。私たちのルーツについて、知識のバージョンアップを図りたい人向けの一冊だ。 日本語は孤立的言語 全体は3部に分かれている。「Ⅰ 旧石器・縄文時代」「Ⅱ 弥生時代」「Ⅲ 古墳時代」。それぞれがさらに小分けされ、「列島旧石器文化からみた現生人類の交流」「縄文時代に農耕はあったのか」「土偶とは何か」など14講のテーマが並ぶ。編者は北條芳隆・東海大学文学部教授。テーマごとに気鋭の研究者が解説を担当している。 印象に残ったところを紹介しよう。 まず「アイヌ文化と縄文文化に関係はあるか」。答えから言うと、「縄文人の遺伝子的な特徴はアイヌ、沖縄人、本土人の順に強く認められ、わずかながら朝鮮半島の人びとにも認められる」。 ユー