待機児童問題が深刻化していた2017年に、都市郊外のA市で行った母親へのアンケートをもとにした本。 著者の一人の前田正子は中公新書から『保育園問題』という本を出しており、もう1人の著者の安藤道人は公共経済学を専門とする経済学者になります。 ですから、アンケートを元にして問題の計量的な分析などを行った本かとも思いますが、本書の中心になっているのは母親たちが寄せたアンケートの自由記述です。 ここに書かれている母親たちの訴えをとり上げながら、母親たちが直面する「保育の壁」「家庭の壁」「職場の壁」という3つの壁を取り出しています。 このように図式的に整理することも可能ですが、本書の売りは何といっても母親たちの実際の声だと思いますので、本書はそうした声を引用しながら「公平な制度の難しさ」を中心に見てみたいと思います。 目次は以下の通り。 はじめに 母親たちの肉声 第1章 母を追いつめる三つの壁 第2