自民党元総裁の谷垣禎一さんは党幹事長を務めていた2016年7月16日、趣味のロードバイクで転倒し、頚髄を損傷した。下半身に重い障害が残り、政界を引退して車いすの生活を送っている。著書『一片冰心 谷垣禎一回顧録』(扶桑社)より、事故後のリハビリのエピソードを紹介する――。 ベッドで寝たまま状態から一変 《2016年秋、1カ月半におよぶ集中治療室での生活を終え、初台リハビリテーション病院(東京都渋谷区)に転院した》 集中治療室では、ほとんどベッドに寝たままの状態でした。一日中パジャマを着て、栄養は点滴で補給していました。手をうまく動かせなかったので、病院食に移行した後も自分で食べることはできませんでしたし、歯磨きなども自分ではできませんでした。 ところが、リハビリ病院に入ったら、治療方針ががらっと変わったんですね。転院してきたとき、看護師さんにこんなことを言われました。 「自分でできることは自