脳は私たち人間の思考をつかさどる重要な器官。過去の経験をもとに学習することで、目や耳に入ってくる感覚入力から外の世界の状態を推論し、適切な行動を起こさせます。このとき、脳の内部では何が起こっているのでしょうか?近年注目される脳の理論「自由エネルギー原理」を使って、知覚から行動にいたる神経回路の普遍的な特性の解明を目指すのが磯村拓哉ユニットリーダー(UL)です。 磯村 拓哉(いそむら たくや) 脳神経科学研究センター 脳型知能理論研究ユニット ユニットリーダー 1988年愛知県生まれ。2017年東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻博士課程修了。博士(科学)。2017年、理研基礎科学特別研究員、2020年より現職。 二つのアプローチ 高校の物理を習った方はご存知のように、電気回路のふるまいは方程式を解くことで計算できる。同じように、脳を構成する神経細胞のふるまいも電気回路として表せ