漫画「しょせん他人事ですから~とある弁護士の本音の仕事」第1話より©左藤真通・富士屋カツヒト・清水陽平/白泉社 ネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策が進んでいる。侮辱罪の厳罰化に続き、2022年10月から投稿者情報の開示手続きが簡略化された。いわれのない悪口を書き込まれたり、何気ない投稿で誰かを傷つけてしまったり。こうした法整備で、SNSは「中傷の温床」から脱却できるのか。誰もが被害者にも加害者にもなり得るネットトラブルの最前線を追った。(時事ドットコム編集部 太田宇律) 【時事コム取材班】 匿名の「追及」厚さ10センチ 「SNSでは、匿名で他人を攻撃することが『エンタメ化』していると思います」。名古屋市内で取材に応じた30代の女性会社員は、そう言って目を伏せた。女性は、趣味の漫画制作で「他人のキャラクターをなぞって盗作しているのではないか」と疑われ、半年ほど前から匿名の中傷にさらされ続けてい