知的所有権 時代によってものの考え方や習慣がずいぶん違ってきます。現代では「この事実は誰が発見した」といった“知的所有権”は重要で、特に学術的な著作においてはすでに知られている結果は誰によるものかを明確に述べる義務があります。しかしこれは現代の慣習で、古代も同じであったとは限りません。たとえば、前回のお話で述べた宇宙の天球モデルとか、「軽いものより重いものの方が早く落ちる」といった引力(重力)の問題もアリストテレスによるとされています。またその他ありとあらゆるものがアリストテレスに帰されています。アリストテレスは古代ギリシアの英知を代表する人物ですから、なんでもアリストテレスの業績にしたのであって、実際発見したのが誰であったかにはあまり関心がなかったのではないかと思われます。 先取権をめぐる争い ニュートンは批判に対して神経過敏で、繊細で傷つきやすい性格でしたが、そのためか、たびたび激しい