厚生労働省(以下、厚労省)が小児救急入院施設の集約化政策を進めた結果、各地域の病院の小児科が大赤字に陥り病院経営の大きな負担になっている。子どももそして医師も守るための集約化で、なぜ病院の負担が増えているのか。小児救急医療を持続していくために打てる手はあるのか。小児救急拠点病院群の収益性について調査を行った伊藤秀一主任教授(横浜市立大学大学院医学研究科 発生成育小児医療学)が、2024年4月21日(日)福岡市で行われた日本小児科学会学術集会で発表した。 ◇集約化で「子どもも小児科医も守る」はずが……日本では2000年代半ばまで小児救急医療の提供体制は“広く薄く”分散しており、約半数の施設で小児科医の数は2人以下だった。そのため、救急車の受け入れができず子どもが死亡したり、小児科医が過労死したり自殺したりといった問題が山積していた。そのため、厚労省は2000年代半ば以降、24時間365日小児