このところ、「物価高」が大きな社会問題となりつつある。「値上げの春」を迎え、食品や日用品の値上がりがさらに目立つようになった。生活に車が欠かせない地域では、ガソリン価格の高止まりが家計の負担に追い討ちをかけている。 こうした中、輸入物価の値上がりをうけて円安の進行に対する懸念が高まり、金利を極めて低い水準で推移させている日本銀行の金融政策を見直すべきとの声も高まっている。もっとも、食品、日用品やガソリンなどの値動きに左右されやすい「体感物価」をもとに金融政策の運営を論じてよいかとなると、判断は大きく分かれるだろう。 本稿ではこれらのことを踏まえつつ、足元の物価の動きと今後の金融政策の運営のあり方について考えてみることとしたい。 1.まだら模様の日本経済 体感物価と消費者物価指数の乖離 今後の物価の見通しを問われたら、「当面は物価上昇が続く」と答えておくのが現時点では最も無難な対応ということ