まるごと一冊レタースペーシングについて書かれた本が出版されるらしい。グラフィックデザインの教科書的な本ではだいたい一見開きか片ページで済ませられるこの息の詰まるような地道な作業、その奥深さについて語る本って今までなかったかも。これを楽しみにしているデザイナーが多いようなので、この波に便乗して私なりにレータースペーシングについての思いの丈を書き連ねてみようと思う。 念のため説明しておくと、文字を用いてデザインする際に文字と文字の間のアキを調整する作業のことをレタースペーシングと呼ぶ。ただしこの呼びかたが個人的にどうもしっくりこないため、以降、ここでは「文字詰め」と表記。 文字詰めに目覚める私が文字詰めを意識しはじめたのは、古本屋でたまたま手にとった昔の『デザインの現場』で、白井敬尚さんが装丁を担当した『タイポグラフィの領域』についての記事を読んでからだ。 この本はきわめてミニマルなデザインで