東北関東大震災の被災者は大切な人や自宅が跡形もなく消えてしまった喪失感のなかにあり、「まだ先のことは何も考えられない」という人が多い。暖房や水、食事も不十分な避難所生活で、今日を生きていくことで精一杯という人がほとんどだ。 そんななか、50代の男性がこんな不安を口にした。 「新築したばかりの家が津波に飲み込まれてしまった。住宅ローンがほとんど残っている状態で、どうやって暮らしていけばいいのか」 地震保険に加入していれば、保険金である程度はまかなえる。悲惨なのは地震保険に加入せず、しかも住宅ローンが残っている人たちだ。 経済評論家の荻原博子氏はこう指摘する。 「住宅金融支援機構は、被災者に対し返済を1~3年間猶予すると発表しました。しかし、逆にいえば、猶予期間が過ぎれば、後は容赦なく住宅ローンの返済を迫られることになります」 もはや流されてしまった家や、半壊し、怖くて住めず、かといって売却も