老後にはどう備えておくべきか。リクルートワークス研究所研究員の坂本貴志さんは「年金は受給を遅らせる『繰り下げ』をすると、受給額を増やせる。利用者は少ないが、予定より長生きするリスクを考えれば、積極的に繰り下げを利用したほうがいい」という――。 ※本稿は、坂本貴志『ほんとうの定年後』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。 結局、定年後にいくら稼ぐべきなのか 定年後の支出額は定年前と比較して大きく減少する。そして、60代中盤以降はなんといっても年金給付が受けられる。結局、定年後にいくら稼ぐべきなのか。すでに引退して労働収入がない2人以上世帯の家計収支の差に着目することで、定年後に必要な収入の額を導き出す。 家計の収入と支出を比較し、その差額を算出したものが図表1である。 若い頃から歳を取った時までの家計収支全体の推移をざっくりとみていてわかるのは、生涯を通じて家計の支出額と収入額は強く