国立大学の教育・研究活動に必要な基盤的経費である国立大運営費交付金。2004年に国立大学が法人化して以降、年々減少が続いており、東大もその例外ではない。この法人化の方向性を決めたのが、1998~99年に文部大臣(現・文部科学大臣)に就いていた元東京大学総長の有馬朗人氏だ。当時は、大学に自主性が生まれるといった効果を期待して法人化されたが、結果的には、そうした効果以上に人件費に充当される運営費交付金の削減で、若手研究者の減少を招くこととなった。法人化は「失敗だった」とする有馬氏に、法人化の経緯や今後のあるべき姿を聞いた。 日本の大学は海外に比べて資金が不足しているといわれます。東京大学総長や理化学研究所理事長、文部大臣も務められた経験から、今の大学についてどうみていますか 有馬朗人(ありま・あきと)氏 物理学者。1953年東京大学理学部物理学科卒、56年東大原子核研究所助手。71年米ニューヨ