「遣らずの雨」の意味に惹かれた ──前作「narrow」から7カ月ぶりの新作「遣らずの雨」は、梅雨の時期にリリースされることもあってテーマは「雨」。楠木さんは雨にどういうイメージを持っていますか? 雨は嫌いではないですし、特に憂鬱になったりすることもなく、どちらかというとドラマチックな印象があります。雨の音をずっと聞いていると落ち着きますし、雨の日に聴きたくなる曲もいくつかあります。雨独特の匂いを嗅いだり、薄暗い街中でいろんな人が色とりどりの傘を差しているのを見たりすると、ちょっと特別な気持ちになります。 ──そういうシチュエーションをテーマに楽曲制作を進めていく中で、まずどういった作品にしようと考えましたか? 雨というテーマを決める前に、次の作品かそれ以降でやりたい曲をリストアップしてまとめていて、その中で、透明感のあるアンビエントやエレクトロニカをやりたいと提案しました。最初に作った「