魅せプレイこそが名人の仕事──当時、ゲームの巧さで稼ごうと思ったら、メーカーに勤めるくらいしか方法がありませんからね。 高橋名人: そうだね。1990年くらいの話だけど、「名人より上手いから雇ってくれ」って履歴書を送ってくる人もいたし。 でも会社としては上手いヤツが欲しいんじゃなくてさ……。 ──上手いだけじゃダメだぞと。 ブンブン丸氏: そこで「名人よりも上手くゲームを宣伝できます」だったら面白がられるのにね。 高橋名人: そう。僕らの仕事はゲームを面白く見せることだったんだよ。 たとえばシューティングゲームで巧いプレイをすると、敵が画面に現れた瞬間に倒しちゃうから、画面からは敵がいなくなっちゃう。そうすると写真を撮るにも店頭で見せるにも、敵がいなくて自機が中央で弾を撃ってるだけのゲームになっちゃうんだよ。それでは宣伝にならない。だから敵をある程度画面に残して、自機のまわりを周回する敵だ