奈良公園(奈良市)や周辺の山間部に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」の保護活動に取り組む「奈良の鹿愛護会」の施設内で、保護したシカに十分な餌を与えないなどの虐待行為が行われているとして、同会の獣医師が奈良市に通報書を提出したことが1日、分かった。同会は「虐待にあたらない」と反論しており、市が近く現地調査に乗り出す。 【写真】奈良公園の「鹿苑」で公開されたシカの赤ちゃん 同会の保護施設「鹿苑(ろくえん)」(同市)では、農作物に被害をもたらしたり、奈良公園から大きく離れたりしているシカ約250頭を、一般公開しない「特別柵」と呼ばれるエリアに収容している。 通報書では、特別柵の雄ジカは健康な状態で捕獲されたにもかかわらず、その後脱毛症状がみられ、約7割が飢餓状態に陥っており、毎年このうちの約3分の1にあたる50頭以上が死んでいると指摘。今年4~7月に特別柵内で、死んだ雄ジカの推定年齢の平均は5