日本の中でロシアと出会うことは難しく、ロシアを想像することも難しい。さらに日本では「恐ロシア」と呼ばれ、日常生活でメディアから自然に入ってくるロシアはなにかと悪く言われがちだ。 社会的役割に縛られるよりは人間として存在すること 留学に行く前に、4日間だけモスクワでホームステイする機会があった。ホストシスターのポリーナの家は同心円状のモスクワの街をずっと北に行った郊外あって、プログラムの集合場所までバスとメトロを乗り継いで1時間半かかる。プログラムは毎日日本人との集団行動で、時間厳守が絶対であった。「ホストシスター」としての役割は、「日本人学生」である私を毎朝集合場所まで時間通りに送ることだ。少し時間に余裕があったある朝、彼女は「見せたい景色がある!モスクワのメトロで一番綺麗だといわれる駅!ちょっと遠回りになるけど、そこに寄って行こう。」と言い出した。そんなことを言われたら、私もその一番綺麗