早稲田大学教授 近藤 孝弘 選挙権年齢の引き下げを機に、いま政治教育への関心が高まっています。 これまで日本の学校は、政治制度についての知識はかなり丁寧に教えてきました。しかし、そうした知識では選挙で政党や候補者を選ぶことはできません。現実の政治の争点を理解し、さらに中長期的な視点から政治的な判断をするための知識を伝えることが求められています。 また知識だけでなく、政治への関心と参加意欲を育てることが大切なのは言うまでもありません。実際に各地の学校で様々な政治教育の試みが進められていますが、その際に大きな障害となっている問題があります。 こちらは連邦政治教育センターという国立の政治教育専門機関ですが、その元となる機関は1952年に設立されています。 ただ60年代に入ると、学生運動に象徴的に見られるように保革の緊張が高まり、それとともに政治教育の考え方も分裂していきました。そうしたなか、対立