一週間の出張命令を受け、適当な理由付けをしては午前中に業務を切り上げる。 前日移動の、会社の粋な計らいに、笑みを浮かべながら単身で駅へと向かっていた。 平凡なサラリーマンの昼下がりを、少しばかり満喫してから新幹線へと乗り込むことにしよう。時間は十分にある。 ふと目に入った、スターバックスに立ち寄り、お気に入りの Grandeサイズで『ダーク モカ チップ クリーム フラペチーノ』を注文する。 隣に移動しながら、レジで会計を済ませようとした時に、後方から店員に対して声がかけられた。 『お会計は、一緒でお願いします。』 状況が全く飲み込めずに、キョトンとしていると、後ろに並んでいた女性が、僕の注文したダークモカチップの代金を勝手に支払っていた。 社交辞令として、軽く会釈はしてみたものの、ご馳走してもらう理由が飲み込めない。 『飲め飲め詐欺』というものが、新たな流行の兆しとして見え始めているのだ