ノンフィクション作家の川内有緒さんが、岡山県の棚田広がる山村の保育園に移住したアーティスト夫婦を紹介した前編。取材を終えようとしたら、奥様のリンダさんから「ここで次男を産んだ」と聞き、俄然興味が湧き……。 *前編はこちら http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52594 助産師を呼ばない無介助分娩 「えっ、自宅で出産したんですか」 改めて確認すると、リンダさんは「うん、あの畳の部屋で産んだんだ」と爽やかな笑顔で答えた。それはすごい、と私は思わず前のめりになった。そこから始まったのは、緊張感と期待感が交差する生命誕生の物語だった。 リンダさんが自宅出産を行なったのは、次男である山伽君(1歳)の出産時だった。その決断には、長男の名月(なつき)君(5歳)の出産体験が影響した。先述の通り、山間に位置するリンダさんの集落には分娩できる病院はなかった。 「なっちゃん(