年末年始はロシア周辺の騒がしいニュースが目白押しだった。モスクワ在住の私は、もう4年以上日本へ帰っていないこともあり、心身共に疲れ、逃避行したくなってシベリアへ向かった。 目的は、油田で有名な西シベリアのチュメニという町だ。石油とガスを探していたら、温泉まで出てきたというハッピーな土地である。 チュメニは2020年、ロシア政府観光局から「ロシアの温泉首都」の称号を得たが、ソチなどのリゾートと比べるとその認知度はあまりにも低い。実際にどうなのか試してみることにした。 温泉はチュメニ郊外にいくつもあるが、私のお目当ては、「チュメニ温泉郷」の中で一番お湯が熱く、源泉かけ流しのところで、仮にソビエト温泉と呼ぶ。 早朝のフライトで来たので、外へ出たら真っ暗だ。いったん市内のバスターミナルまで行き、バスの隙間風に震えながら1時間ほど走り、温泉へと向かう。 降りる少し前に運転手に「降ります」と言わなかっ