吉村昭の長編ドキュメンタリー小説で「漂流」という作品がありまして。 これがもうね、劇的に面白いわけです。 草木もほとんど生えない火山島。もちろん、湧き水も出ない。 そんな絶海の孤島に漂着し12年ものあいだ生き延び、最後は自力で日本まで戻ってきた男の話です。 救助されたんじゃなくて、自力で生還だからね。激ヤバ。 「漂流」について熱く語りたいが、ネタバレは避けたい。注目ポイントを挙げていきましょうか。 まずね、1番のポイントは、これがゴリゴリの実話だということです。 作者が物語上、都合良く、エキサイティングなエピソードを配置し、面白可笑しくお膳立てした冒険活劇ではないということです。 実際に当時実在した人間たちが、文字通り命がけで経験したサバイバル生活が描かれているのです。 だからこそ、メチャクチャ面白い。興味深い。 リアル・ガチ。 人間は、あっけなくバタバタと死んでいくし、 都合よくお宝アイ