増田文学に関するameshonyanのブックマーク (5)

  • 車を止めてはいけない駐車場を修理した話

    私は昔、機械式駐車場の建設、整備を行う仕事をしていました。 マンション等に住んでいる方なら実際に使ったことがあるんじゃないでしょうか。 ボタンを長押ししたり、自分の車が止めてある番号を選択して呼び出すタイプの駐車場です。 平置きとは違いスペースが無くとも複数の車を止めることが出来るので都市部などではよく見られるかと思います。 地方、特に田舎だとほぼ無いでしょう。駐車場の土地が確保できないなんて事は希ですし余程のことが無いと建てないと思います。 だからこそ、あの村で見たボロボロの装置は私にとって不気味で仕方ありませんでした。 数年前の夏、暑さもピークを迎え汗が吹き出るようになった時期に、知らないアドレスから仕事の依頼が届きました。 元請けからではなく利用者の方からの直接の依頼は珍しかったので興味位で詳細を伺うことに。 私は主に関東エリアで仕事をしているのですが、今回の物件は東北地方の某所に

    車を止めてはいけない駐車場を修理した話
  • タイムマシンになって

    父は奇妙な人間だった。TV鑑定団に骨董品を出すと言ってはスーパーマーケットの皿を買って来たり、タバコを買ってくると言っては駄菓子のハッカタバコを買ってくるという人だった。その天然ぶりと珍妙さは折り紙付きであり、近所からも道端の湿ったコケ類の如き柔らかな中傷を浴びた。 ある時父は失踪した。まるで真冬の嵐に巻かれた雪景色の向こう側に消えるようにいなくなった父であったが、家族からも不思議と心配されることはなかった。母は変わり者の父のことだからきっとどこかで生きている、とのんきな様子でせんべいを頬張り、そうした様子で何年も過ごした。母がせんべいのことすら忘れる頃になると俺も成人になったのだが、どうにも父のことは今すぐそこにいるように感じられて仕方がない様子だった。そのように語る俺ですら、父が死んだという認識はない。父の失踪はまるで都市伝説のみたく脈々と受け継がれてゆくようにも感じられた。 ある日の

    タイムマシンになって
  • 自分がどのような音に囲まれていたのかを抜き書きしてみる。

    ピアノのリサイタルもオーケストラも何も行われなくとも、なぜ音楽をやれたのか。思い出せる限りで、気になったことを書いてみる。 かつての小学校は、月末土曜だけ集団下校を行っていた時期があった。その下校する児童が、しゃべり声とともに自分の家の前を通っていく。もちろん私のピアノの音はその児童に届いていただろう。 小学校まで、道があまりにも単純すぎたため、クラスメートの声が、前方100m以上前にいる私に筒抜け。女子の声なのに、きれいに聞こえる。 目の前の文房具屋には、必ず自転車が3台くらい止まっていて、チェーンの音が必ず聞こえた。 路が行き止まりだったため、Uターンしてくるバスの運転音。 まだ冷房のないバスの警笛。 神社にいるに、煮干しをあげると、鳴かずにべてきたが足音は聞こえた。 考えられないような薬屋の沈黙。 下級生のやってた「アトランチスの謎」のBGMがドアから聞こえていた。 空き地を走り

    自分がどのような音に囲まれていたのかを抜き書きしてみる。
    ameshonyan
    ameshonyan 2021/01/24
    実に文学的。気に入った。また書いてね。
  • グレイト・バウム

    "揃いバウム" の噂を聞きつけた私はアメリカはアリゾナの砂漠に飛んだ。揃わないバウムの幻影に惑わされながらいくつかの星の歌を聞き、昼はサボテンの花を汗に濡れた指でなぞった。バイオスフィアの跡地を蜃気楼の中で追いかけると、ナバホの居留地にたどり着いた。 酋長はいった。その昔二つの対となったバウムが接触したことにより世界は誕生した。南洋諸島に伝わる石器の硬貨はバウムの姿を形象化した力そのものだと。私は酋長にバウムの行方を聞いた。しかし酋長は首を縦に振らなかった。 「遠い友人よ、あなたは今や文明人だ。どうして我々があなたを信じられようか」 そこから私は臆病なサソリの友人を持つにいたり、彼に星々と共に語りかける様になった。どうすれば酋長は心をひらいてくれるだろうと私が打ち明けると、サソリは決まって恥ずかしがって去ってしまう。空の砂粒が眩しすぎるのだろう。たしかにここにいれば科学文明は遠く彼方に沈ん

    グレイト・バウム
  • 桃が2つ川を流れてもおばあさんは1人しかいない

    おばあさんに選ばれなかった桃が鬼ヶ島に流れ着き、桃の中に入っていた子供は鬼ヶ島で生まれて鬼太郎と名付けられる。鬼太郎は鬼達に育てられ、鬼の一味として暴れ回る。 桃太郎が鬼を滅ぼしたときに片目を失いながらも生き残った鬼太郎は、死んだ養父の魂を黄泉から呼び戻し、くり抜いた養父の目玉に宿らせる。 ネズミ、、老婆、翁、布、壁を従えて鬼太郎は一族の仇である桃太郎を追う。復讐の鬼太郎の誕生だ。 ここから現代人が学ぶべきことは、家事をに任せきりにせずに夫も手伝うことである。桃を両方拾っておけば血で血を洗う復讐は起きなかった。鬼太郎になるはずの子は桃次郎となって、桃太郎の強力な味方となっていただろう。

    桃が2つ川を流れてもおばあさんは1人しかいない
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