最近ぼくの頭の中には、「出来るまでやる」ということばが常に浮かんでいます。 2011年に企画した杵島隆写真展「日本の四季」に展示したプリントは、1990年頃制作した和紙仕立てと呼ばれる大変珍しいプリントでした。経師の職人さんがカラー印画紙の乳剤の部分だけを慎重に剥がし、厚手の和紙に丁寧に仕立て直したものです。日本の職人さんの技術は、例えば新聞紙を包丁で二枚にすることが出来る程だそうで、水墨画などは、そうやって1枚を2枚にすることもあるそうですが、このような日本の巧の技と、写真の技術を結びつけ、カラー印画紙独特の艶やかな色彩と、手漉き和紙の紙目が溶け合って、モノとしても大変に魅力的なシリーズを展示する企画をやりました。ちなみに現在は、印画紙の構造が変わったためと、この作業を手がけた職人さんが現存しないために、再制作は出来ません。今私たちが見る事が出来るのは、50点近く制作した中から、他人の手