木を見て森を見ず--。国会は全体を見渡す視点を失っていないか。次々と発覚する政権を巡る不祥事に、野党は安倍晋三首相の責任を追及している。だが、民主主義の危機を感じている評論家の東浩紀さんは「トップだけ代えても解決しない」と見る。問題の本質はどこにあるのか。【小松やしほ】 民主主義国家の基礎は脅かされた 末端の現場も処罰すべきだ 東さんのオフィスは、東京・五反田にあるビルの一室。壁一面は書籍で埋まっている。落ち着いた雰囲気の中で、穏やかならぬ言葉を口にした。「今回の財務省による公文書改ざん問題で、民主主義国家の基礎は脅かされたと言っていい」 いきなり厳しい現状認識を聞いて戸惑いの表情を浮かべたからなのだろうか、東さんは説明を続けた。「国会が、行政府に求めて差し出させた文書に改ざんがあったということは、立法府による行政府の監視が働いていないということ。つまり三権分立が機能していないという状態で