好きだから、やりたい そこで「せめて自分で納得できるだけの努力はしよう」と思い、申し込んだのが「編集・ライター養成講座」である。言葉が好きなので、言葉による表現を学ぶのは心底楽しかった。講師陣の一言一句がするすると耳から脳へ行き渡り、知的好奇心がみずみずしく満たされ、執筆欲が脳髄で花咲いた。 人も好きなので、無意識下に埋もれている欲求を掘り出し、心を掴む言葉で世の中に投げ込む編集の仕事にもときめいた。講師・嶋浩一郎氏の「暗黙知の言語化が文化や市場を生み出す」という言葉は、今でもよく思い出す。パンドラの箱に潜む願望に名前をつけ、世の中に発信して認知度を高めることで、その願望を抱え持て余していた人が周囲から理解されやすくなる。世の中の価値観を変えることだってできる。それによって誰かが生きやすくなったら、どんなに素晴らしいか。願いを言葉にするだけで、世界がやさしくなるかもしれない。 私が幼少期か