毎日新聞は16、17の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は、11月18、19日実施の前回調査(21%)より5ポイント減の16%で、内閣発足以来最低を2カ月連続で更新した。不支持率は前回調査(74%)より5ポイント増の79%だった。 調査方法が異なるので単純比較はできないが、支持率が20%を下回るのは、菅直人政権下だった2011年8月(15%)以来。不支持率79%は、毎日新聞が世…
衰退に向かう日本のような国では、野党の責任も重い。 安倍政権が分断の政治をしたというが、野党も踏み絵を踏ませている。原発に反対か、消費増税に反対か、憲法改正に反対か、次々と「反対の踏み絵」を踏ませて全部踏まないと仲間と認めない。「正義の線」を引くことに酔いしれ、その結果、味方は減る一方だ。 「野党共闘」と言ってまるで立憲民主党と共産党が一蓮托生(いちれんたくしょう)であるかのような印象を国民に与え、「反対の線」で可能な限り政策をそろえようとする。ならば一つの党を作ったほうが早いのであって、各党の独立を前提とした共闘からはそれ、違いが分かりにくくなる。 実際、立憲民主党の中でも消費減税に対して否定的な声は相当あったが、共闘が優先され、そうした声は押しつぶされた。野党共闘などと力まず、淡々と選挙区調整をやればいいだけのことではなかったのか。 「私たちの理念」が欠けている 「格差是正」はいまだに
「看板倒れ」どころか、倒れて粉々になった看板が最初からなかったかのように片づけられようとしている。岸田文雄首相による10月3日の所信表明演説を聞いて、私が思い描いたのは、そんな荒涼とした光景だ。 わずか9カ月前の今年1月17日、岸田氏は施政方針演説において、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」の実現を訴えていた。この日の演説で岸田氏は、「市場に依存し過ぎたことで、公平な分配が行われず生じた、格差や貧困の拡大」や「市場や競争の効率性を重視し過ぎたことによる、中長期的投資の不足、そして持続可能性の喪失」など、新自由主義が生み出したさまざまな弊害を列挙。世界では、これらの弊害を乗り越えて持続可能な経済社会を実現するための「経済社会変革」の動きが始まっているとして、歴史的なスケールの変革を日本が主導する、とまで語っていた。 しかし、今回の所信表明演説では「格差」、「貧困」等、新自由主義の弊害
北京オリンピックで7日にあったノルディックスキー・ジャンプの混合団体に出場した高梨沙羅(25)=クラレ=が8日、自身のインスタグラム(写真共有アプリ)を更新した。4位となった日本の1番手で出場し、1回目に失格になったことについて「日本チームみんなのメダルのチャンスを奪ってしまったこと、今までチームを応援してくださった皆様、そこに携わり支えてくださった皆様を深く失望させる結果となってしまったこと、誠に申し訳ありませんでした」とつづった。 真っ黒な画像を示した上で「私の失格のせいでみんなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です。謝ってもメダルは返ってくることはなく責任が取れるとも思っておりませんが、今後の私の競技に関しては考える必要があります。それほど大変なことをしてしまったこと、深く反省しております」とし、「私のせいでメダルを取れなかったにもかかわらず、最後の最後まで支え続けてく
岸田文雄首相による内閣が発足し、記念撮影にのぞむ岸田首相(前列中央)と閣僚たち=首相官邸で2021年10月4日午後10時45分、宮武祐希撮影 毎日新聞と社会調査研究センターは4、5日、岸田文雄内閣の発足を受け緊急の全国世論調査を実施した。内閣支持率は49%と5割に届かず、昨年9月の菅義偉内閣発足時の64%を大きく下回った。不支持率は40%だった。閣僚の顔ぶれに「期待感が持てる」との回答は21%にとどまり、「持てない」が51%に上った。 発足直後の支持率は新首相への期待から高めに出る傾向がある。岸田内閣最初の支持率は、菅内閣最後となった前回調査(9月18日)の37%より上がったものの、歴代内閣の発足時と比べ低調な船出と言えそうだ。調査方法が異なるため単純に数値の比較はできないが、過去20年間では麻生太郎内閣発足時(2008年9月)の45%に次ぐ低さとなった。 岸田内閣を支持すると答えた人にそ
新型コロナウイルス禍での東京オリンピック・パラリンピック開催を巡る竹中平蔵元総務相(パソナグループ会長)の6日のテレビ番組での発言が波紋を呼んでいる。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が「今の状況で(の開催は)普通はない」と述べたことを「明らかに越権」と批判。「日本の国内事情で世界のイベントをやめることはあってはいけない」とも発言した。識者らは「科学を無視する行為」「論点がずれている」と指摘する。【大野友嘉子/デジタル報道センター】 「本当にエビデンスがない」 竹中氏は6日の読売テレビの討論バラエティー番組「そこまで言って委員会NP」で次のように発言した。 「例の分科会というのがね、あの座長の発言なんかひどいじゃないですか。だって別に分科会がオリンピックのことを決めるわけじゃないのに、明らかに越権でね。本当にエビデンス(根拠)が私はないと思いますけども、何か人流を止めれば
社会保障を充実させるためなら負担増を受け入れる、と考える人が多数を占めた一方、消費増税には反対が多数との結果が出た。一見矛盾しているようだが、これは政府不信の深刻さの表れだ。「納税分がきちんと還元されるならば、増税に応じる」という国民の思いに、政府が応えられていない。 日本は世界的にみて税負担が少なく、その分、何でも自己責任とされ将来不安は限界にきている。税で負担を分かち合うことが大事だ。しかし、税と社会保障の一体改革で、増税分は全額を社会保障の充実に使うと決めたのに、いつの間にか増税分の半分が国債の返済に充てられている。税金が社会保障に還元されて…
政策の効果とは言えず 先月末に2015年の子どもの貧困率が公表された。前回の12年の数値が発表されてから約3年がたち、待望の数値だった。社会全体の貧困率は16・1%から15・6%へ、子どもの貧困率については16・3%から13・9%へと大幅に減少した。まず確認することは、これは、とても喜ばしい結果だということである。マスコミは、ややもすると批判口調になりがちだが、特に子どもの貧困率については2・4ポイントの減少であり、これは貧困率としては大きい。この減少により、子どもの貧困率は03年の時の値とほぼ同じとなった。経済協力開発機構(OECD)30カ国の子どもの貧困率の平均が13%程度なので(13年値)、先進諸国の中では、ほぼ平均並みになったといえるであろう。 大人が1人の子どものある世帯、すなわち、ひとり親世帯の貧困率も54・6%から50・8%と09年のレベルとなった。こちらはOECD平均からは
犠牲強いる復興「失敗」 今回の復興政策は失敗です−−。首都大学東京准教授の山下祐介さんに取材を依頼すると、返事のメールにその言葉があった。 確かに、被災地の今を伝えるニュースに触れると「東日本大震災は終わっていない」と痛感させられる。それにしても「失敗」とは……。「限界集落の真実」(ちくま新書)などの著書で注目される気鋭の社会学者の目に、何が映ったのか。 「今、進められている復興政策は、被災者の思いからどんどんずれてきている。取り返しのつかないことになります」。口調には焦りさえうかがえる。 この記事は有料記事です。 残り2592文字(全文2839文字)
節分の新たな風物詩「恵方(えほう)巻き」をめぐるコンビニの商法が論議を呼んでいる。大手チェーンはこの時期700万本近くを売るというが、背後で店員へのノルマや売れ残りの大量廃棄が起きている。業界の構造問題が根底にあるとも指摘される。 全国5万店を超え、便利で身近な存在のコンビニは売上高10兆円の産業に成長した。地域の防犯活動や災害時の物資供給の拠点にもなっている。社会的な役割の大きさにふさわしい改革が求められる。 予約販売が中心の恵方巻きは、学生アルバイトにも「1人30本」などのノルマが課されることがあるという。家族や知人らから注文を取らないと、自腹を切って給料を削ることになる。また、節分後は売れ残りがたくさん捨てられている。インターネット上にそうした画像が投稿され、食べ物を粗末にすることにつながる商法が批判を受けている。 コンビニは、バレンタインデーや母の日ギフト、土用のうなぎ、中元・歳暮
セブン-イレブンの東京都武蔵野市内の加盟店が、風邪で勤務を休んだアルバイトの女子生徒に渡した給与明細。「ペナルティ」「9350円」との手書きの付箋が表紙部分に張られ、9350円が支払額から差し引かれていた=家族提供(一部画像を加工しています) コンビニエンスストア最大手、セブン-イレブンの東京都武蔵野市内の加盟店が、風邪で欠勤したアルバイトの女子高校生(16)から9350円の「罰金」を取っていたことが分かった。セブン-イレブン・ジャパンは「労働基準法違反に当たる」として、加盟店に返金を指導した。 親会社セブン&アイ・ホールディングスの広報センターなどによると、女子生徒は1月後半に風邪のため2日間(計10時間)欠勤した。26日にアルバイト代を受け取った際、給与明細には25時間分の2万3375円が記載されていたが、…
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