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有馬:日本と旧ソ連が「日ソ共同宣言」に署名したのは1956年の10月19日。この時、旧ソ連との第2次世界大戦からの戦争状態が終わったわけですが、その60年後の今年12月15日、安倍首相が地元の山口県長門市の「大谷山荘」でロシアのプーチン大統領と会談します。 北方領土やロシアとの平和条約を締結するうえで、極めて重要な会談になりそうですが、実は北方領土(歯舞<はぼまい>諸島・色丹<しこたん>島・択捉<えとろふ>島・国後<くなしり>島)の問題は、事実を知らない読者が大半です。「4島」なのか「2島」なのかという議論が漠然と盛り上がっていますが、北方領土問題の解決や平和条約締結に向けては、何がポイントとなるのでしょうか。 鈴木:北方領土問題は、日本の戦後処理で解決されていない問題です。改めて歴史を振り返りながら、お話ししましょう。まず、旧ソ連時代のポイントは少なくとも4つあります。 はじめに1956
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11月1日、ソニーが2017年3月期第2四半期決算を発表した。前日に下方修正したとおり、今期の売上高は7兆4000億円(前期比8.7%減、従来予想を据え置き)、営業利益は2700億円(前期比8.2%減、従来予想から300億円減)になる見込みだ。 黒字は定着したようにみえるソニーだが、この復調は果たして本物と言えるだろうか。とりわけ、同社が成長事業と位置付ける「ゲーム事業」の復活はどうなのだろうか。 AR(拡張現実)技術で、新たなゲームの面白さを実現させた任天堂の「ポケモンGO」が世界的な大ヒットになったことは記憶に新しい。一方でソニーは、約20年前に業務用ゲーム機(ゲームセンターで遊ぶゲーム機)で採用され、一時期ブームとなったVR(バーチャル・リアリティ、仮想現実)を家庭用ゲームに取り入れて、新たな可能性に挑戦しようとしている。これが、PlayStation VR(以下プレステVR)と呼ば
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金ファミリーの医療施設を管轄する高官が日本亡命を希望しているようだ(North Korea's Korean Central News Agency (KCNA) in Pyongyang on August 10, 2016. KCNA/ via REUTERS) 北朝鮮の高官が、日本への亡命を希望しているという。10月5日、韓国有力紙「中央日報」によると、北京駐在の北朝鮮代表部所属の高官2人が9月末、家族とともに脱北・亡命したと、北朝鮮消息筋の証言を引用、報道した。 報道によれば、「北京代表部の代表」という肩書きで活動してきた北朝鮮・保健省出身の高官A氏が9月28日、夫人と娘とともに北京の日本大使館側と接触、日本行きのための手続きを行っているという。このA氏は「日本に親戚がいる」と述べ、ソウルよりも東京に行くとの意思を示しているようだ。 金ファミリーの医療施設を管轄する高官 A氏は、北
毎年、年末になると「来年のヒット予測」が各方面から発表されます。昨年末にある雑誌が予測した2016年のヒット第1位は「電力小売り自由化」関連サービスでした。今年4月から一斉に新電力への切り替えがスタートしましたが、結果的に新電力に切り替えた世帯は7月時点でたったの2%にとどまっています(電気新聞7月11日報道)。 しかしそのちょうど1年前の調査では、なんと95.4%の人が電力小売り自由化後に「電力会社を変更する可能性がある」と回答していました(出典:プライスウォーターハウスクーパース株式会社「電力小売市場意識調査結果2015」/調査時期:2015年8月)。なぜこのようなことが起こるのでしょうか? 「安さ」だけでは人は動かない 実は、事前調査で“行動意向”が高くても、実際に行動する人はそれほど多くないことはよくあります。そこには人の「リスク感」という感情が潜んでいます。人は、新しい行動を採用
東洋経済オンラインで貧困に喘ぐ女性の現実を連載するノンフィクションライターの中村淳彦氏と「貧困報道」は問題だらけだを連載するルポライターの鈴木大介氏。この2人が、性産業の問題から教育・福祉・介護の悲惨な状況、日本社会の構造的問題にいたるまで、計12時間にわたる対談を行った。その全容は共著『貧困とセックス』(イースト新書)に収められているが、ここでは前後編に分けて、そのうちのエッセンスを紹介。今回は後編だ(前編はこちら)。 超高齢化社会による介護のラッシュ 鈴木:現在進行形の貧困問題は、過去に貧困をケアしてこなかった結果です。そのツケが、最近一気に噴出した。わかりやすいのは、戦災孤児。彼らが体験した貧困のその後のケアに、土木だとか港湾労働といった単純労働に就かせた。新しい産業を興して人手が不足の産業に貧しい人を誘導したわけです。その産業のラッシュが終わったら、彼らに対して次のケアをしない。そ
パリに降り立ったら、そこはヴァカンスでした。 ヴァカンスといえば文学が馴染みます。わたくしだったら、若いときに読んだフランソワーズ・サガンの『悲しみよこんにちは』。微熱の気だるさとアンニュイな生理の重さが交差したような読後感がよみがえります。 ヴァカンスのもともとの意味は「空っぽ」。英語ならvacantですね。むかし有閑階級という言葉がありましたが、金持ちがすることもなくボーッとしていることの形容だったそうです。 フランス人にとっては「仕事=足かせ」!? ヘンリー・ジェイムスの『デイジーミラー』では、ヴァカンスのころのパリかローマの情景を“dead season”と表現していたと記憶します。星のついたレストランも地元のブティックもお休みで街は閑散、歩道には風に転がる空き缶の音が空虚に響くばかり……の風情です。 年に5週間の有給休暇に週35時間労働。フランス人は1カ月のヴァカンスのために11
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政策でなく運に恵まれたアベノミクス 1月から日経平均株価が大きく下がりましたが、その理由は原油、円高、中国のせいだと言われています。しかし、私はそうした外部環境によるものではなく、ここ数年間続いた日本経済の好調期が終わりを迎えているためだと考えています。 3年ほどになるアベノミクスを振り返ると、当初掲げた「三本の矢」のうち、金融緩和効果は刺さりました。この部分はおおいに評価できると考えています。 しかし、残念ながら財政政策は中途半端で、成長戦略は、矢ではなく「針」に過ぎませんでした。刺さった中で大きかったのがインバウンド消費ですが、それでも大きさはせいぜい「吹き矢」程度。全体で見ると成長戦略は大きな成果を上げることができませんでした。 アベノミクスそのものは、政策としては中途半端と言わざるをえません。ただ、アベノミクスにとってラッキーだったのは、景気循環と円安が後押しとなったことです。アベ
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出勤前に取材に応じてくれたキャバクラに勤める里見千穂さん(23歳、仮名)は、顔色ひとつ変えずに娘に対する虐待を語る。彼女は4歳の娘と暮らすシングルマザー。学歴は高校中退、18歳で出来ちゃった結婚し、3年前に無職で収入のない旦那と離婚している。 沖縄県那覇市松山は、沖縄県最大の歓楽街だ。300メートル四方の一角にキャバクラや風俗店が密集する。ゆいモノレール・美栄橋駅を降り、国道58号を越えるとネオンの明かりが見える。路上から男性キャッチが続々と現れ、ひっきりなしに声をかけられる。沖縄の夜は長い、連日朝方までネオンが消えることはない。 平均年収は全国最下位、雇用は崩壊状態 沖縄県の経済は、本当に厳しい。県民の平均年収は333万円(平成25年賃金構造基本統計調査)、平均月収は23.75万円(勤続9年、平均40.5歳)で、全国最下位であり、第1位の東京都580万円と比べると57%強の収入しかない。
団塊世代は、年金不足と老老介護で貧困化。若者は低賃金で使いつぶされ貧困化……。昨年頃から顕在化し、広がってきた貧困問題。年配層や女性たちの苦しみも多々あるけれど、若者の実状はひどくなるばかりだ。 若者に貧困を強いる劣悪な雇用環境 藤田孝典(以下、藤田):私の新著『貧困世代』(講談社現代新書)と今野さんの新著『求人詐欺』(幻冬舎)は、多くの問題意識を共有しているように思いました。一言でいうと、いまの若者は現在、そして将来も、大変な貧困に陥らざるをえないような環境に置かれているということです。 私が所属しているNPO法人「ほっとプラス」には、食べるものにも困って、栄養失調状態で訪れる10代や20代の若者がいます。彼らは決して特殊な少数派ではなく、生活に困窮した若者の相談は後を絶たないんです。 にもかかわらず、上の世代はそういった若者が置かれている現実をまったく理解できていない。どう考えたって、
豊富な知識と経験を持ち、みんなから敬われる存在だった高齢者。ところが最近は「突然怒り出す」「暴力を振るう」「理不尽な要求をする」――といった迷惑な老人が跋扈している。高齢化が進む中、暴走する高齢者は社会の重荷となりかねない。 「おいっ、タクシー代を出せ!」。 昨年末の深夜のこと。60歳過ぎの男性が駅員に大声で怒り狂っていた。その男性は都内のある駅からA駅へ行くつもりが、年末の忘年会で酔っ払っていたのか、間違った電車に乗って路線も名前も違うB駅に着いてしまった。A駅とB駅は直線距離で50キロメートル以上。すでに引き返せる電車はない時間で、駅員にむちゃな要求を始めたのだ。 理不尽な要求が多い高齢者
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