機械的無機質

「一緒に暮らしたいね」 それは、彼女がそう言った時に始まった。その時、僕と彼女が付き合い始めてからの日は浅かったけど、僕も同じことを思っていた。だから、とても嬉しかった。 「じゃあ、二人で暮らす部屋を探しておくよ」 僕は彼女にそう言った。どんな家がいいか、どんな立地がいいのか、それを彼女と話している時間は楽しかった。そして、条件は揃った。駅から10分以内、2LDK、マンションの二階以上で、バストイレ別で、対面式キッチンで、コンロは絶対にガスコンロで2口以上、そんな条件だった。 僕は忙しい仕事の合間を縫って、コツコツとネット検索をして部屋を探した。探しているうちに、あることに気づいた。僕が検索した条件と近い条件の部屋を、僕が家探しに関係のないウェブブラウズをしている間にも広告表示してくれるのだ。 これは素晴らしい。僕はそう思った。これなら、ずっと効率的に彼女と暮らす部屋を探すことができる。

[kidspong]

仕事で女性用の衣料を調べないといけない案件があって、色んなサイト回ってたら何故かヤフオクの女装グッズの出品情報広告が表示されるようになった。ウェブ見ながらの打ち合わせがいよいよヤバい。

[TokiMaki]

就職活動に失敗して大学を卒業したあとに、新卒向け就活サイトの広告がどこまでも追いかけてきて辛かったのを思い出した。

[u_eichi]

増田文学・星新一賞。

[sukekyo]

タイトル以外はとてもいいです。もっとキャッチーなタイトルのほうがいいんじゃないかな。「理想の間取り」とか。では、ショートショートの広場のほうにまわしておきますね。

[denimn]

仕事でアパレル系ECサイト(下着メーカー)のフロント動作確認してたら広告がブラまみれに。後輩の女の子にディスプレイを見られた時は若干気まずかった。／「プリントアウト」の単語にどうしても引っかかる。

[mzkiui15]

叶わなかった夢のかけらが僕を攻め立てるように輝いている。

[kippeihyuga]

深いですね。

[waltham70]

いい。

[lli]

業者は広告をオプトイン方式にしないとブロックされて結果より大きな不利益になる。

[aceraceae]

わりといい感じの掌篇小説。

[yasushiito]

よくできてるなぁ。

[msdbkm]

suumo とかなんとか建設とかの広告が出てる。

[hungchang]

検索内容から広告をマッチングしてくるのは理解できるんだけど、Google先生は現在地までそれでわかると思い込んでいる謎。沼津になんかいませんから。

[novak777]

星新一の「宣伝の時代」や「住宅問題」では広告は逃れられないものとして描かれていたけど、現実はまた違う様相を示すのか。(あるいは、ブロックをする人物の特徴や思想、傾向をデータとして収集してたりするのかも)